2016年2月25日木曜日

逆転の発想を見つけよう!ソイジョイの広告


逆転の発想は、強いメッセージになります。

 

「牛乳は、実は、体にわるい」

「肌に浸透させない方が、実は、美肌になる」

「肉食は、実は、太らない」

 

まあ、いろいろありますが、

企業や商品の価値に、逆転の発想を発見できると

おのずと強いメッセージを作ることができるんです。

 

これだってほら、そうでしょ?

 

 


 

(キャッチ)

毎日食べられる。

むしろ

食べた方がいい

チョコレート。

 

※チョコを食べると太るから、

大半のひとが罪悪感を多少なりとも感じながら

食べているのではないでしょうか。

 その常識を覆すのが、このソイジョイです。

 

 「毎日食べられる(可能)」いやむしろ「食べた方がいい(推奨)」

 という二段跳びをつかっています。

 こういう技も盗んでいきたいですね。枝葉の話ですが。

 

 

ダイズ×チョコレート×アーモンド

ソイジョイ アーモンド&チョコレート

 

(ポイント)

ドライフルーツ不使用

ざくっとしたローストアーモンド

チョコのほど良い甘さ

 

 

広告する商品なり企業が、

世の中の常識に対して「MORE(より良くするもの)」なのか

BUT(逆転の発想で良くするもの)」なのか見極めましょう。

 

そのうえで伝え方が考えるのです。

BUTの商品なら、ぜひいい驚きがほしいですね。

お酒広告のロジックはないないする。サントリー角


同じこと言うにしても、言い方がある。

 

いわゆるHOW TO SAYからは、

企業や商品のキャラクターが滲み出ます。

 

「春は、相性抜群のハイボール揚げ物で盛り上がろう!」

というメッセージだって、

 

サントリーにかかれば、この一言です。

 

 


 

(キャッチ)

春はあげもの。

 

※ひらがなにするだけで、「春はあけぼの」みたいな雰囲気に。

 この大人のシャレ、これ言うたら居酒屋でのオヤジギャグですが、

 井川遥さんがいることで、そんな風に見えない。

 

 

(おさえ)


ハイボールがお好きでしょ。

 

はい、ちゃんと商品につなげてます。

ここでは「お好きでしょ」っていうだけで十分。

 

だってこれはお酒の広告。

キャッチとおさえコピーががちがちに

ロジックでつながってたら、

見るほうも何だか窮屈なんです。

 

キャッチのあとに

ふぁって一瞬消える感じ。

形ないものの価値は、形あるものを通して伝える。タワレコの広告


有名人の素が見られる広告があります。

それはあの、タワレコの広告ポスター。

 

なんで出演する人はみんな素なんだろ?

と思ったらたぶん、音楽って素で聞くものだから?

と解いてみました。

 

タワレコにとって音楽が商品。

その商品価値のひとつ「人を素にさせる」ことを

ポスターで実証してるわけですね。

 

 

(キャッチ)

NO MUSIC,

NO LIFE.

 

 

(ボディ)

Q 「ダウンタウンとは何ですか?」

 

松本「う~ん…。難しいなぁ…」

  「…。浜田が決めます。」

 

浜田「俺?どうしよかな…。」

  「…「ダウンタウンとは、松本である」」

 

ポスター上でのインタビューってのも新しい。

 

 

(ダウンタウン)

TOWER RECORDS

 

 

タワレコというフィルターを通すと、

ダウンタウンのこんな一面が見れてしまう。

 

逆に言うと、ダウンタウンがいるからこそ、

タワレコの魅力が伝わるんですね。

 

形のないものの価値は、

形あるものの力を借りて伝える。

 

これもひとつの手段。

誰やねん?ていわれたら広告失格。北斗の拳30th


広告は「人」である。

伝わらない広告は、「人」になっていない。

 

つまり顔がない。

顔もない名無しの権瓶の話なんて、

誰も聞かないと思います。

 

誰が発信者なのか考えなければなりません。

いい見本がありました。

 


 

(キャッチ)

エラそうに新聞なんて読みやがって。

 

※ここ「生意気に…」ではダメなんですよ。それじゃ相手を子ども扱いしてる。

 でも「エラそうに」だと大人になった読者へ雀の涙ほどの敬意を感じさせる。

 一見おなじ意味の言葉も、その立ち位置は微妙に異なるんですね。

 

北斗の拳 30th Anniversary

 

 

この広告はまさに「誰が言うか?」があるからこそ

面白く読者に深く伝わる表現になっています。

 

文章を書くときは、

「誰が発信するとより伝わるだろう?」と

考えてみるといいかもしれませんね。

広告は時に二重人格「東京新潟物語」


お酒は大きく2つの種類に分かれる。

 

飲む人と向き合うお酒と、

飲む人と共に歩むお酒である。

 

この商品はどちらかというと、

共に歩むお酒。

 

どちらかというと、というのは

お酒は気まぐれだから相手によって

態度を変えることがある、ということだ。

 

いずれも共通しているのは、

お酒はこころのエネルギーになることだと思う。

 

 


 

(キャッチ)

告白された。

こんどは、ゆっくり

恋をしようと思う。

 

※女性のモノローグ。この女性とは読み手のこと。

 せかせかしている世の中だけど、ゆっくり恋しようよ、

 とお酒以外のことをすすめています。

 でも、ゆっくりの裏にはちゃんと商品がある。

 人は理由もなくゆっくりなんてできない。

 お酒が焦る歩調をととのえてくれる。

 

 

(おさえ)

私の故郷には、480年続く蔵があります。

東京新潟物語

TOKYONIIGATA STORY

 

 

新潟出身の読み手からすると、

「私」とは、そのまま「自分」となる。

 

一方、新潟以外の女性が見たら

「私」とは「友人」になるのだと思う。

 

 

つまり広告も、2つの見方に分かれるケースがある。

自分自身を投影するか、

そこに友人(先生でもいい)が見えるか。

 

そこまで計算して、伝えなければ。

2016年2月19日金曜日

「おいしいって言わずに、おいしいを伝える」ウイスキー山崎の広告


寸分も違わず商品のことを言い当てる。

そしてそれが商品メリットを匂わせる言葉になっている。

 

そんな広告をご紹介します。

 

 

 

(キャッチ)

なにも足さない。

なにも引かない。

 

※ピュアであるという商品特性を、

 ピュアという言葉を使わずに表現しています。

 仮においしいという商品特性ならば、

 おいしいという言葉を使わずに表現するのです。

 すると、言葉は強くなる。

 

 

(ボディ)

モルトは眠っていたのではない。

 

※お酒は樽で眠っているという使い古された例えを否定。

 おや、何だか今までのお酒とちがうぞ。と思わせる。

 

 

十二年間、樽の中で、ひたすら自己を磨いてきたのである。

火の出るような修業を積んできたのである。

 

※眠っていないのであれば、何をしていたのか?

 読み手の疑問にすぐさま答えるセンテンスが続きます。

 

 

なにも足さず。なにも引かず。

ありのまま。そのまま。

 

※歌でいうサビ。突然、前触れなく出てきました。

 こういう時は、短い言葉でパッと出す。

 

 

その無垢の、選ばれたものが奏でる一滴の響きは、

いわばソロであるのだが、

しかし、耳を澄ますと、そこには無数の響きがあるのだ。

ハーモニーがあるのだ。

 

※「なにも足さず、なにも引かず」という左脳メッセージを

 右脳的な感情に訴えるメッセージにひも解いています。

 それってどんないいことがあるのか、具体的に。

 ここでは音楽に例えています。何かに例えるときは

 モチーフを探すのがポイントです。

 

 

不思議なことだが、

それがピュアモルトの魅力というものなのである。

 

※「不思議なことだが」っているのでしょうか。

 答えは、いります。読み手の心にスッと入るだめの潤滑油です。

 

 

 

(おさえ)

日本のウイスキーのふるさと山崎から

サントリーピュアモルトウイスキー山崎

 

※「日本のウイスキーのふるさと」という表現もメタファー、

 つまり例えですよね。

 正しくは、というか、左脳的に表現するなら「ウイスキー発祥の地」。

 より深く訴えかけるために右脳的な表現「ふるさと」としたのですね。

 

 

 

それにしても、音楽のメタファー表現は引き込まれます。

これは広告だけ勉強してちゃ、きっとできない芸当です。

 

小説をよむとか、お酒をのむとか、ですかねやはり。

「右脳と左脳をバランスよく」モード学園の広告


読んだときにグッと心に響くコピーがある一方で、

言ってることは分かるけどグッとこないコピーがあります。

 

その違いは「右脳メッセージの有無」

ではないかと想像します。

 

たとえばファッション業界のプロを目指す学校で

こんな広告が出たとしますよね。

 

「自分の名前を、いつかブランド名にするんだ」

 

たぶん“分かる”と思うんです、左脳では。

 

プロになって独立するという目標を

「ブランド名にする」と業界ならではの表現ができている分

このままでもグッとくる人はいるかもしれません。

 

でも、さらにこうなったらどうでしょう?

 

 

 

(キャッチ)

親から

もらった名前を、

いつか

ブランド名に

するんだ。

 

※「自分の名前」をさらに深く掘り下げて表現しています。

 つまり「自分の名前」という左脳的な言葉を、

 右脳へ感情的に伝わる言葉に変換しているわけです。

 さらにいうと、人が生きる最大の目的である

「子孫を残すこと」に関するメッセージは否応なく強くなる傾向があります。

 

 

(おさえ)

汗と熱、というリアル

体験入学・夏

 

東京モード学園

 

※体験入学の価値は、リアルが分かるということ。

 そのリアルとは、「汗」と「熱」。

 この2つも右脳的な感情言葉ですね。

 

 

 

言葉は大きく2つの種類に分かれます。

理性に訴えかける左脳的メッセージと、

感情に訴えかける右脳的メッセージに。

 

左脳的な言葉ばかりだとつまらないコピーになるし、

右脳的な言葉ばかりだと説得力のないコピーになります。

 

コピーもバランスが大切なんですね。

「独自の強みは刺身で出そう」ヨーグルトの広告


ほかの商品にない強みがある場合は、

直球でいっちゃいましょう!

 

まわりくどい言い方は不要です。

 

 


 

(キャッチ)

内臓脂肪を減らす

 


ガセリ菌SP

ヨーグルト

 

※商品のもつ特性が、

ほかの商品にもありそうか?なさそうか?

この判断をするために、ほかの商品も調べましょう。

もし独自性・優位性ある特性であれば、そのまんまドーン!です。

 

つまり、「内臓脂肪を減らすヨーグルト」がほかになければ

「内臓脂肪を減らすヨーグルト!」と言えばいい。

ただし、読み手にわかる言葉に翻訳する必要はありますが。

 

 

(吹き出し)

内臓脂肪が減ると

幸せは増える。

たぶん。

 

※「内臓脂肪が減る」というメリットの先に起こる

いい出来事を伝えようとしています。

健康になる、みたいなメッセージは薬事法にひっかかるので

幸せになる、という曖昧な言葉になったと考えられます。

 

○○が増えると、××が減る。という逆さ言葉は

強い文章をつくるテクニックのひとつですね。

 

 

 

最近よくいわれるのは商品のコモディティ化です。

 

コモディティ化とは、

商品の特性がどれも似通ってきて

どのメーカーが作っても品質に大差なくなってきたぞ。

という世の中の傾向をいっているわけですが、

 

商品を開発している方たちは必死で

これまでにない新しい商品を作ろうとしています。

 

だから、私たちもまず商品担当と同じ立場になって、

商品の独自性に目を向けてみましょう。

 

探せど探せど見つからない場合は、

生活者の価値観や時代の流れと商品の接点を見出し、

コンセプトを練る必要がでてきます。

 

商品に独自性が認められたならば、

商品特性=ほぼほぼコンセプト、となります。

 

 

つまり、分かりやすく例えると

 

無人島にサバの缶詰が届いたら仲間にこういうのが一番。

 

「おーい!サバ缶がとどいたぞー!」

 

 

これが一番強い。