2016年2月12日金曜日

「商品の価値」と「ひとの真理」をむすぶ。PILOT

一見すると時代遅れの商品も、
表面にとらわれてはいけません。

しっかり商品の価値と向き合えば、
ちゃんと今に通じていることもあるのです。

たとえば、万年筆。

何だか時代遅れ感ありますよね。
今はみんな手紙を書くというよりも
メールやSNSが主流ですし。

ところが、なんです。
文字を書く機会が減っていたとしても、
「誰かに思いを伝える」という点でいえば
むしろ増えている。劇的に。

その点を発見して、
今アウェーの万年筆をアピールした
すばらしい広告を、ひとつ。


(キャッチ)
万年筆は、
メールやブログに
賛成です。

  どういうこと?と気になって先が知りたくなります。
さらに万年筆が擬人化され、動詞でおわるキャッチに。
動詞は動くというだけあって、文章が強くなります。


(ボディ)
親指を操り、一心に手紙を打つ中学生や高校生。

  手紙と同じく「思いを伝える行為」のメールを
「手紙を打つ」と表現しています。やられた!
  発見した視点をいちいち理論だてて“せつめい”するのではなく、
  感覚的に伝わるコトバにしてズバッとお出しする。すばらしすぎ。 


そんな姿を、街で見かけるたびに、私たちは、ほほ笑みたくなるのです。

万年筆とメールはややもすると敵対関係で描いてしまいそうですが、
まったく逆であることが分かりますね。


時にうれしそうな、時に真剣な眼差しは、
万年筆やペンを手にしている人の眼差しと同じだ、と。
思いを言葉にすることを楽しんでいる人が、ここにもいる、と。

  ここが重要な発見ポイントですね。しかも、情景が思い浮かびそう。


ほんの少し前、「活字離れ」が心配されていたこの国で、
毎日、何通もメールという手紙を書き、ブログという日記を書く人が増えている。

  個人的に「活字離れ」と直結させるのは少し行き過ぎかな、と思います。
世の中でいってる「活字離れ」とは、教養を育むための「書籍離れ」では。
  でも、否定されがちなメールに光をあてる視点は見習いたいです。


「この気持ち、あの人に届くだろうか」「この考え、伝わるだろうか」
迷いながら考えながら、言葉を選び、文章を綴る人たちがいる。

  ここではもっと具体的に「メール・SNS」と「万年筆・ペン」の
共通点について語られています。


筆記具という道具を90年つくり、書く人たちの隣にいた者として、
そのことが、ただうれしいのです。

  前文では「知(理論)」によって共通項が提示されました。
そしてこの文では「情(感情)」によって共通項に喜びを表しています。
  忘れてならないのは「筆記具という〜者として」という
  発言の根拠を語ることです。これがないと唐突な文章になります。


そして、あなたの言葉を、あなたの文字で、したためなくなった時。
私たちのペンは、伝えようと思います。
その胸の内を、その体温を、言葉にできない大切な何かを。

  ここで万年筆・ペンにつなげています。
「私たちのペンを使ってください」ではなく、
「私たちのペンは伝えようと思います」です。

さらに具体的に「胸の内」「その体温」「言葉にできない大切な何かを」です。
最終的に、言葉以上のものを伝えられる万年筆・ペンの優位性に落ちています。
すごくないですか?


一本のペンがあれば、人は、笑ったり、泣いたりできる。

  ◯◯があれば、こんなメリットが手に入る。という構図です。
ただメリットの内容がとても情緒的な点も見逃せません。


(おさえ)
書く、を支える。 PILOT

  パイトッロのすべての事業を一括りにできるショルダーコピーですね。



このコピーで学べるのは、

「商品」の価値を深く理解すること。
「ひと」の行動の奥にある真理を深く理解すること。

商品とひと。両側から穴を掘っていけば、
読み手の心を動かす視点が見つかるのだと思います。


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